左右盲

僕は左手に温いマグカップ

朝がこんなにも降った

一つでいい

心を亡れるほどの幸福を

一つでいいんだ

一人行くその静けさを

僕にはわからないみたい

君の右手にはいつか買った小説

あれ、それって左手だっけ

一つでいい

君の胸を打つ、心を覗けるほどの感傷を

一つでいいんだ

君の目は閉じぬことを

僕の身体から心を少しずつ剥がして

剣の柄からルビーを　この瞳からサファイアを

一つでいい

涙も忘れるほどの幸福を

少しでいいんだ

今日の小雨が止むための太陽を

少しでいい

君の世界に少しでいい僕の靴跡を

わかるだろうか、君の幸福は

一つじゃないんだ

君が行く長いこれからを

何を食べても味がしないんだ

貴方の心と　私の心が

ずっと一つだと思ってたんだ